研究課題/領域番号 |
10041092
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
山根 裕子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70200772)
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研究分担者 |
宮井 雅明 立命館大学, 法学部, 助教授 (70273159)
瀬領 慎吾 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (90192624)
泉水 文雄 神戸大学, 法学部, 教授 (50179363)
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キーワード | 公共性と競争 / 専門職業と競争 / 規制的透明性 / 社会的規制 / インサイダー競争 |
研究概要 |
産業の規制が緩和されていく過程では、市場原理だけではなく、競争条件の公正さを競争当局あるいは規制当局が監視する必要がある。その過程では競争の観点からの規制はいかなるものであるべきか。2000年度は、おもにこの観点から規制内容の検討をし、さらにその透明性について研究した。 対象分野は、規制産業(電力、ガス、電信電話、郵便事業等)およびさまざまな専門職業分野、研究開発である。さらに、国家の経済活動への介入は、いわゆる「規制産業」部門だけでなく、専門職業で、消費者がサービスの質を判断しにくい分野(たとえば医療、建築、弁護士などの専門的な職業サービス)にも及んでいる。専門的職業の質や報酬について特別の基準が必要であることは疑いないが、誰がいかにこれらの基準を制定すべきか、また競争政策の観点からはどう判断されるかについても検討する必要がある。 泉水はとくに司法書士会に焦点を当てつつ、他の専門職業にも視野を広げ、専門職業の自主規制、とりわけ報酬基準、広告規制、倫理綱領等が独禁法法や競争政策でいかに考えられるかを、立法の動きや、米国の最近の判例を検討した。 宮井は、競争者間の非ハードコア・カルテル規制のあり方を、米国反トラスト法を素材として検討した。何らかの社会的に有益な共同事業が競争者間で行なわれる場合に、当該共同事業の有益性を尊重しつつ競争秩序への悪影響を最小限にとどめるための手法として、米国のガイドラインの分析手法とその背景にある「インサイダー競争」論を研究し、競争政策と他の公共政策との調整について考察した。 瀬領は、国民の健康・安全確保、環境保全・災害防止を内容とする社会的規制を取り上げて、GATT/WTOにおける取り扱いを検討した。 山根は、各国の規制産業および合併の競争の観点からの規制にどれだけの透明性があるか、また透明性を確保するためにどのような制度が構築されてきたかを検討した。
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