研究課題/領域番号 |
10041099
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
柏岡 富英 京都女子大学, 宗教文化研究所, 教授 (40142591)
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研究分担者 |
藪野 祐三 九州大学, 法学部, 教授 (10047730)
MANOJ Shrestha 甲南大学, 経営学部, 助教授 (90248097)
飯田 経夫 中部大学, 大学院・経営情報学研究科, 教授 (70022449)
東元 春夫 京都女子大学, 教授 (80218693)
川浦 昭彦 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (10271610)
依田 博 京都女子大学, 宗教文化研究所, 教授 (50093539)
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キーワード | 南アジア地域協力機構 / 多民族社会 / 近代と伝統の相克 / 民主化 / 宗教対立 / 開発と環境保護 / 地域紛争と難民問題 / 地域主義 |
研究概要 |
本年度は、SAARC加盟国の中でも経済大国であるインドを中心に調査研究を行った。地域主義の時代にあって、南アジアにも地域主義を促進しようとする動きが鮮明に現れているのであるが、地域としての一定のまとまりを創造するには、さらに時間が必要であることが、今回の調査によって深く理解された。たとえば、インドとパキスタンのカシミール帰属問題は、SAARCの枠組みではなく、二国間問題としてとらえられるなど、同連合の発展にとって望ましいことではない。地域の安定は、「国際公共財」であるとの認識に基づいて、その供給の責務を果たすべきことを連合加盟国が両国に要求することができるような体制にまで発展するのでなければ、経済的な離陸に悩む加盟国にとって同連合の将来的な可能性を見限ることになりかねない。 今回の調査によっても、インドとパキスタン両国は、それぞれの独自の発展を志向し、「協力連合」の中での主導権争いに終始している傾向が読みとれた。両国が力を注いでいる情報処理分野も、日本や欧米との協力を模索することは、やむを得ないことと判断されるが、他方では、SAARC関係諸国とその成果を共有する体制の構築も望まれるところである。関係者との懇談でも、協力体制への姿勢は不十分であった。経済分野はいうまでもなく、教育、研究、マスメディア、文化といった広範囲の協力体制の促進は、今後のSAARCの喫緊の課題であることはいうまでもないが、アジアの経済大国である日本の役割、とりわけ[SAARC特別基金」が持つ意義は極めて大きなものであると考えられる。
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