研究課題
国際学術研究
インドネシア・スラバヤ市における種々の肝炎ウイルスの分子疫学調査を行い、以下の成績を得た。1. B型肝炎ウイルス(HBV):無症候性キャリアー及び慢性肝疾患患者から得られたHBV DNAの塩基配列に基づいて遺伝子型を決定したところ、すべてがグループBに属するものであった。2. D型肝炎ウイルス(HDV):HBs抗原陽性者のうち、抗HDV抗体陽性者0.5%以下(0/200)であった。HDVの遺伝子型は解析し得なかった。3. C型肝炎ウイルス(HCV):HCVの各サブタイプごとに血中ウイルス感染価を測定した。インドネシアに特有のHCV-1dは一般に、わが国に多くインターフェロン抵抗性であるHCV-1bと同様に、高い血中ウイルス感染価を示した。一方、HCV-2aは前記二者に比べて低かった。しかし、少数ではあるが、血中ウイルス感染価の高いHCV-2aもみられた。4. GBウイルス(GBV-C):新しい肝炎ウイルス候補として報告されたGBV-Cについては、HCV抗体陽性健常供血者の21.9%(16/73)、また、同陰性健常供血者の2.7%(4/150)が、血中ウイルスRNA陽性であった。また、慢性肝炎の5.7%(3/57)、肝硬変の16.5%(13/79)、原発性肝がんの8.5%(6/71)、血液透析患者の21.7%(15769)が陽性であった。ウイルスRNA塩基配列の分子系統樹解析により、インドネシアにはこれまでに報告されていない新しいサブタイプのGBV-Cが存在することがわかった。5. TTウイルス(TTV)の:もうひとつの新しい肝炎ウイルス候補であるTTVについては、慢性肝炎の21.9%(14/64)、肝硬変の24.0%(18/75)、血液透析患者の32.8%(20/61)が、血中ウイルスDNA陽性であった。
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