研究概要 |
本研究は,日本・ルーマニアそれぞれ3人ずつ合計6人の研究者グループによる国際共同研究であり,研究課題名が示すとおり,沸騰や凝縮のような相変化を伴う伝熱過程を,電場の印加によって能動的に促進する技術を確立するための基礎研究を目的とするものである. 伝熱促進は,エネルギー有効利用技術における小温度差伝熱,あるいは新素材製造における急速冷却などに関連してきわめて重要かつ緊急性の高い技術である.通常,高い伝熱速度を実現するには,蒸発・沸騰・凝縮などのような気・液間の相変化を伴う伝熱を利用することが多いが,このような伝熱プロセスでの熱伝達率をもう一段高めたい場合に電場の効果(EHD効果)を利用するのはきわめて有力な方法であり,工学上また工業上意義のある成果が期待できる. 本共同研究では,日本およびルーマニアの研究者が,2年間にわたり主としてそれぞれの所属大学において,次の分担課題について研究を実施した.(1)水平ローフィン付き凝縮管外面上での膜状凝縮伝熱の外部電場による能動的促進法に関する研究(日本),(2)電場による凝縮液膜の不安定化および引き出しのメカニズムに関する理論的解析(日本),(3)伝熱促進に対する電場の有効性の検証と最適条件の検索(ルーマニア),(4)各種機器およびプロセスへの応用に関する技術的検討(日本,ルーマニア). 共同研究としての実をあげるため,お互いの研究の経過および成果についての情報と意見の交換を電子メールやファックス等により頻繁に行い,研究の方針と進展状況をたえず確認した.また,平成10年度と11年度にそれぞれ1回ずつ,ティミショアラおよび東京で両国の研究者による現地視察と報告・打合せの会合を開いた. なお,具体的な研究の内容と成果については,成果報告書(冊子体)[別紙様式12]を参照のこと.
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