研究課題/領域番号 |
10301011
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
青木 康容 佛教大学, 社会学部, 教授 (40104616)
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研究分担者 |
高坂 健次 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60027977)
田村 雅夫 椙山女学園大学, 人間関係学部, 助教授 (40247606)
中道 実 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (40067690)
小林 久高 島根大学, 法文学部, 助教授 (30215355)
鵜飼 孝造 甲南大学, 文学部, 教授 (00203498)
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キーワード | 地域政治 / 政策過程 / 職業意識 / 地方行政 |
研究概要 |
近畿圏における有権者のアンケートによる意識調査に引き続き、今年度は有権者調査と同一の地点で 行政職員の意識調査を実施した。 1.地方自治体の行政職員の意識調査は、過去においてどの程度どのように為されてきたかについて文献を渉猟したが、必ずしも多くは無く、また小規模の調査に過ぎないことが分かった。これらの文献は調査票の作成に役立ったが、多くの関心を盛り込んだため大部な調査票となった。とりわけ重視した項目は、今日の地方自治体における政策過程であった。国の政策過程の研究は枚挙するほどあるが、地方の場合は少ないと判断したからである。 2.有権者調査はランダム・サンプリングによって50の地点が抽出されたが、当該50の地方自治体の職員数は10数万人に及ぶ。これを母集団とした自治体の職員名簿の入手は困難である。また50地点では府県庁から町村にいたる自治体間の比較は困難である。そこで、行政職員の職階を係長以上の役職者に限定することで対象者を限定し、範域を広げることで自治体間の比較可能性を探った。対象者の抽出は大蔵省印刷局発行の『職員録』を用いた。規模の大きい自治体では係長の掲載が無いこともあり、課長補佐以上の役職者に振り替えた。小規模な自治体では『職員録』には、長と三役しか記載されていないので職員組織図の送付を依頼した。近畿圏における行政職員の中からトータルで14,226名の管理職が選ばれた。その意味では役職者の悉皆調査というかたちとなった。調査票を各自治体の人事課宛に発送し、人事課経由で配布をお願いしたが、調査を拒否する自治体が6地点あり、これらを除いて結局回収数3,554で、回収率は32.2パーセントであった。 3.昨年からの懸案であった1989年の有権者調査と98年の地方議員調査の基礎集計表が出来上がり、またこれまでのデータファイルが完成し、本年五月には報告書が刊行される。これらデータを用いた解析の一部は以下の通りである。 1998年地方議員調査のデータを中心に、郵送調査において避けて通ることの出来ない無応答誤差の問題を取り上げた。無応答者から情報は得られていないので、1995年4月施行の地方議員選挙結果調より府県別議員定数、年齢別構成、新再当選者構成、党派別構成のデータから適合度の検定を用いて特性の比較を行い、地方議員調査データの信頼性と妥当性を検討した。次いで地方議員の政治的社会化過程の集約点の1つである政治家志望と初当選、地方議員のキャリア・ターン、在職期間から地方議員のリクルートの問題、高齢化の問題、最後に地方議員にとって目標達成とは何かを検討した。地方議員は継続が重要な課題となるが、われわれの地方議員調査のデータは継続に成功した議員を調査対象とした。
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