研究課題/領域番号 |
10304017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 和明 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (00242165)
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研究分担者 |
山本 明 高エネルギー加速器研究機構, 低温工学研究センター, 教授 (30113418)
新冨 孝和 高エネルギー加速器研究機構, 低温工学研究センター, 教授 (10016082)
大橋 正健 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (80213833)
三尾 典克 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (70209724)
三代木 伸二 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (20302680)
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キーワード | 重力波 / レーザー干渉計 / 低温鏡 / サファイヤ鏡 / サファイヤファイバー / 熱雑音 / ファブリーペロー干渉計 |
研究概要 |
重力波検出が可能になれば、重力波そのものについて一般相対論から予測される位相速度や偏波成分について検証ができ、重力波源については、コンパクト星のダイナミクス、分布などの統計、絶対距離がわかる。また、重力理論そのものの検証も可能である。このように、物理的にも天文学的にも重力波の検出は画期的なことである。このような重力波を直接検出するために、現在、世界で建設されている干渉計はいずれも究極の感度を目指すものであるが、それでもってしても、数ヶ月に一度という頻度で重力波を受けるにはまだまだ感度が不足している。このため、本研究では、世界でまだ取り組まれていない、鏡を極低温に冷却する技術により、鏡の熱雑音を抑制して感度向上を目指す。つなわち、重力波検出のため、熱雑音を低減する低温鏡を現実的なプロトタイプ装置に組み込み、世界で初の低温レーザー干渉計を実現することが本研究の目的である。本年度は、2枚の対抗する低温鏡を保持するクライオスタット真空槽及びこれらをつなぐ6mの低温真空配管を完成させた。これまでに、真空性能、冷却性能、振動性能などの基本的な性能を検査した。特に冷却については、機械振動レベルを地面振動を上回らないように抑圧できる冷凍機を採用し、さらに機械振動が鏡に伝搬しないような構造を採用したため、熱の抵抗が大きくなる傾向があり、種々の工夫が施されて初めて必要な性能を満たすものとなった。この装置の製作と平行して、低温下の高い機械的損失環境のもとで位置調整を行えるアクチュエータの基礎研究を進め、また、鏡の汚染がもたらす影響を定量的に評価する実験も行った。
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