研究課題/領域番号 |
10309004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
玉井 哲雄 千葉大学, 工学部, 教授 (80114297)
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研究分担者 |
小泉 和子 愛知県立芸術大学, 客員教授
モリス マーティン 千葉大学, 工学部, 講師
河野 真知郎 鶴見大学, 文学部, 教授 (40224810)
宮本 長二郎 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (60261252)
小野 正敏 国立歴史民族博物館, 考古研究部, 助教授 (00185646)
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キーワード | 復原 / 発掘遺構 / 発掘部材 / 堀立柱 / 礎石 / 努穴 / 高床 / 総柱 |
研究概要 |
各地の都市およびその周辺部の開発にともなう発掘によって確認された縄文・弥生時代から中世・近世にいたるまでの発掘遺構に含まれる多彩な建物跡を、建築史研究者と考古学研究者が実際に現場に出向き、共同で建物復原方法を検討し今後の建築史学ないし考古学の基礎資料とすることが基本的な目的である。 本年度は、縄文・弥生及び古代の遺跡として、三内丸山遺跡(青森県)、野木遺跡(青森県)、惣利遺跡(福岡県)、吉野ケ里遺跡(佐賀県)、また、中世から近世にかけての遺跡として、十三湊遺跡(青森県)、和風迎賓館遺跡、旧修徳小学校遺跡(京都府)、吉川元春館、万徳院遺跡(広島県)、肥前名護屋城遺跡(佐賀県)、竹富島ハナスク村・クマーラ村遺跡、波照間島マシュク村遺跡、石垣島フルストバル村、安里村遺跡(沖縄県)の実地見学を行い、発掘担当者など関係者の説明をもとに参加者による研究討議を行った。個々の遺跡に関する討議の結果は最終的な報告書にゆずるが、全体を通じて以下の点が確認された。(1)個々の建物だけではなく、建物相互の関係、そして都市ないし集落全体との関係を考慮しないと建物の復原的考察はできない。(2)縄文・弥生の遺跡においては近年増加しつつある発掘建築部材の検討によって建物の復原的考察の可能性が広がりつつある。(3)中世から近世にかけての発掘遺構に関して、その地上部分の復原的な考察が建築技術の上でも、また社会の発展という観点からも重要な意味を持つ。これらの視点は、今後の研究計画の重要な指針となるはずである。 また、復原的な考察を行うに際して、コンピュータ・グラフィックによる技術的な可能性についても既に研究成果の蓄積のある研究者の講義を受け、その可能性について前向きに検討が行われた。さらにコンピュータに関しては既存の発掘資料の中から建物復原に関する資料を収集し、基礎的な資料として研究会メンバーだけではなく、広く学会に益する形でのまとめ方を検討した。これらも今後の研究計画の重要な指針となると思われる。
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