研究課題/領域番号 |
10400005
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研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
矢野 亮 国立科学博物館, 附属自然教育園, 主任研究官 (80110112)
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研究分担者 |
新井 正 立正大学, 地理環境科学部, 教授 (10062811)
大野 正男 東洋大学, 文学部, 教授 (80057992)
奥田 重俊 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (00000141)
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キーワード | 自然教育園生態系 / 都市環境 / 自然の変遷 |
研究概要 |
本研究は、2年目に当たるが、今年度の調査の結果新たな知見が得られている。 植物相・動物相の調査では、蘇苔類・地衣類・子のう菌類・変形菌類・陸産貝類・クモ類・ササラダニ類・多足類・ミミズ類・ガ類・ハバチ類・アリ類・アブラムシ類・ハエ類・鳥類などで新たに生育・生息が確認された種も多く見られた。また、東京都内では姿が見られなくなった生物が多い中で、クモ類・ガ類・バッタ類・ハエ類などでは希少種がいまだ健在であることもわかった。さらには、蘇苔類・地衣類・クモ類・ヤスデ類では日本初記録の種、ササラダニ類・ムカデ類などの微小生物では、新種と考えられる種も確認されている。 また、植生の調査では、自然教育園の森林は、植物群落の遷移が進み、常緑樹林化している傾向が見られた。このため、落葉樹林下に常緑樹が侵入し林床植物の単純化を招き、路傍でも人里性の帰化植物が減少している。一方、やや耐陰性のあるイロハモミジがこの35年間に10倍に増加したり、都市気候の温暖化の影響で亜熱帯性植物のシュロが繁茂するなどの現象も見られている。 無機環境の調査では、自然教育園内の土壌中には長年にわたって蓄積された銅・亜鉛などの重金属が多いことや、明治以来120年間の都市気候と水収支の関係なども明らかとなった。
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