研究課題/領域番号 |
10410108
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中條 直樹 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (10023623)
|
研究分担者 |
岡本 祟男 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90169152)
山田 勇 香川大学, 経済学部, 教授 (90036020)
佐藤 昭裕 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50135498)
神山 孝夫 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (40204630)
山口 巖 鳥取大学, 教育学部, 教授 (60026763)
|
キーワード | 年代記 / 中世ロシア / ノヴゴロド / スズダリ / シノド本 / 新輯本 / コンコーダンス |
研究概要 |
本研究は、平成10年度から平成12年度にわたる3年間の研究期間において、ロシアにおいて出版された年代記を資料に用い、ロシア文章語の成立を文献学的に実証しようとするものである。文献を研究するのは、言語の過去の姿を明らかにすると同時に、通時的研究の基礎を成すからである。 『ノヴゴロド第一年代記新輯本』(コミシオン版)について、そのコンコーダンスを作成するに当たり、データの再度のチェックを行い、完成度を高めるようにした。テキスト利用したのは A.H.Haсонов監修による《Нoвгopoдcкая первая летопись старшего и младшего извода》(Изд.АН CCCP М-Л.1950であり、スキャナーを利用した読取りでは、文字上の制約として、ヤッチの取り扱いに最大の注意を払った。また、テキストには、欠落箇所、或いは不鮮明な箇所が見られたが、各種の異本を参考にそれらを補うに止めた。 この作業と並行して『ノヴゴロド第一年代記新輯本』(コミシオン版)について、IndexとWord Listを作成し、校正に利用するとともに、『語彙集』(「古代ロシア研究XIX」参照)を準備している。 次に、『スズダリ年代記』(ラヴレンチー版)については、テキストに用いられている文字は、先年世に問うた“A Concordance to RUSSIAN PRIMARY CHRONICLE I-II″と同一であるが、今回は一部のフォントの作成により、翻字することなく直接コンピュータへの入力により、データの蓄積を開始している。それはスキャナーの性能が飛躍的に向上したにもかかわらず、この『スズダリ年代記』については、スキャナーによる読取りはかなり困難であると予想され、読取り後の訂正に費やされる時間を勘案して敢えて人の手による入力を選択した。 ロシア文章語の成立と発展については、特に民衆語にもとづいた官庁語の重要性は、しばしば強調されているにもかかわらず、未だ殆ど調査されていない。本研究は、民衆語の発達していた中世ノヴゴロドで成立した『ノヴゴロド第一年代記シノド本』の『語彙集』及び『同コンコーダンス』『ノヴゴロド第一年代記新輯本』の『コンコーダンス』、及び『ラヴレンチー版原初年代記』の『コンコーダンス』の成果を利用し、教会スラヴ語とロシア民衆語との関連をパソコンを利用することによって徹底的に調査・分析する。
|