研究課題/領域番号 |
10420006
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松井 芳郎 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00022418)
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研究分担者 |
小畑 郁 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40194617)
富岡 仁 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (00126880)
佐分 晴夫 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70093036)
西村 智朗 三重大学, 人文学部, 助教授 (70283512)
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キーワード | 国際法 / 国際機構 / 人権 / 経済的協力 |
研究概要 |
今日のイデオロギー状況の全体の分析と評価として、一方ではいわゆるグローバリゼーションの結果として平和、人権、環境などの全地球的課題の解決にとっての主権国家の限界が露呈した事実が指摘されたかが、他方では、このようなグローバリゼーションは多くの点で主権国家が追求してきた政策の結果でもあり、したがって野放しのグローバリゼーションがもたらす負の影響を規制するためにはなお国家の役割に期待しなければならない局面があることが主張された。また、「協力の国際法」概念を軸として、「世界公共圏」の立場から「協力」のあり方をコントロールする可能性が追求された。 経済関係機構の分析としては、農業問題を例として、諸国家のグループ相互間の利害対立、さらに、企業の多国籍化の実状が国際貿易秩序の変動に影響を及ぼしていることが指摘された。 人権問題と認識されるようになってきた環境問題については、まず、国際海事機関(IMO)の性格変化との関連で、船舶の通航権の規制の有様が分析された。さらに、気候変動条約の第6回締約国会議の準備交渉が分析され、「柔軟性メカニズム」の具体化や「不遵守手続」の確立等の課題が明らかにされた。 以上の成果により、「『冷戦』後の国際社会のイデオロギー変動の中で、急速に進展しつつある経済的国際協力と人権保障を結びつけようとする動向を、多角的かつ総合的に分析し、その全体像を明らかにしようとする」本研究の視角の有効性が検証された。ただし、リンケージがもたらすと予測される国際秩序の全面的な再編成を、国際法学(およびその一部としての国際組織法学)の立場から研究するという課題は、ほとんど手つかずで残されていることは率直に認めなければならない。
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