研究課題/領域番号 |
10430014
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研究機関 | 鈴鹿国際大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
木之内 秀彦 鈴鹿国際大学, 国際学部, 助教授 (00204941)
青木 恵理子 鈴鹿国際大学, 国際学部, 教授 (40180244)
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キーワード | マレーシア / インドネシア / インド / スリランカ / 中小企業 / 技術移転 / 輸出志向型産業 / 外資系企業 |
研究概要 |
本研究は当初から専ら日本国内での作業で構成することとしてきたが、今年度は機会が許せばインドネシアで調査することも一時考えられた。しかしインドネシアの政治混乱と治安の悪化で結局調査は断念した。ただし文献資料などの間接情報からだけでも、同国の中小企業が厳しい状況にあることは理解できた。経済危機により、内需向け機械工業の下請けや国営企業からの受注に依存してきた中小企業が受注減の直撃を受けた。また国内借入利子の急騰も中小企業の財政を逼迫させている。危機以前の受注計画に合わせて設備投資してきた積極的な中小企業ほど危機の被害が大きい。とくに内需関連の自動車、家電産業は、内需低迷、販売価格引き上げ等により売り上げが激減し、それらの裾野産業は壊滅的状況にある。ルピア価値の低迷による資本財、原材料の購入コスト上昇も追い討ちをかけた。技術移転や中小企業の問題に限らず経済の長期展望を語るには、政治と治安の或る程度の安定が前提となろうが、インドネシアではその前提そのものが現在欠けている。マレーシアについては中小地場産業育成に熱心だったマハティール首相および与党UMNOの盤石の支配に少々陰りの兆しがみえ、それが産業政策にどう影響するかを注目しているが、インドネシアほどの混乱は予想できず将来的に現地調査は十分可能であると考え、一つの準備作業としてマレーシア国立大学経済学部研究者と意見と情報の交換を進めてきた。クマーラは所属校の校務により同国に出張した際に、同国研究者と本研究に関して予備的協議を行った。スリランカに関しては、在日スリランカ大使館、日本国内でのスリランカ関連各種会議(スリランカ・フォーラム、スリランカ投資セミナー等)を通じて意見交換をはかった。インドについては、本研究と関連する別のプロジェクトでニューデリーとムンバイで集中的現地調査をしているが、全体的には90年代に入ってからの規制緩和・自由化の一環として技術移転のプログラムを中央政府は進めているものの、州毎の対応が鋭く異なるために地域格差を広げてしまうという別の難題を生んでいるようである。これらの成長市場と一時喧伝された同国も、内需の牽引車となる中流以上の階層が人工比では依然小さいことが分かったために、競って進出した外資系企業は戦略の見直しを迫られており、下請けの裾野産業も影響は免れないと観察できる。
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