| 研究概要 |
本研究においては,昨年度から引き続いて,製品開発の日本的特徴が,顧客と販売企業とのインタフェイスにある営業担当者の行動によって規定されることを重点的に研究した。
まずこれまでの研究から日本企業の製品開発プロセスは,顧客との緊密な関係を志向する営業管理様式のもとで,製品開発のための需要情報収集が顧客適応的になされるタイプと,もう一つには,顧客との広範囲な関係を志向する営業管理様式のもとで,ある程度標準化された情報が顧客との間や開発部門との間において交換されて製品開発がなされるタイプの二つがあることが確認されている。そして日本企業に対する質問票調査の分析結果から,日本企業では欧米企業とは異なり,営業管理様式がアウトプット管理のままでも,前者のような顧客との関係を志向する営業活動や製品開発の情報収集活動が行われることが検証されている。それは日本企業の長期取引と長期雇用という慣行に基づいて,欧米のようにアウトプット管理が短期的志向の営業活動をもたらさないためと考えられる。またそのために日本企業では欧米企業のように短期的志向の制御のためにプロセス管理が用いられるのではなく,部門間の情報交換を促進することで,顧客適応的な製品開発や効率的なザービスの開発・提供をはかることが,これらのデータに基づく実証分析で明らかにされた。
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