研究概要 |
本年度はアフィン・スーパー・リー環に付随するW代数とconformal-super代数およびsuper-conformal代数についての研究を行い,それについて次のような成果が得られた。 通常のアフィン・リー環のとき,それに付随するW代数をDrinfeld-Sokolov reductionの量子化により構成する方法は,すでに以前に,筆者とEdward Frenkel教授とVictor Kac教授との共同研究により知られているが,アフィン・スーパー・リー環のときにはその手法をそのまま自然な形に拡張して適用しても正しいW代数は得られない。そのために,アフィン・スーパー・リー環に付随するW代数を構成することは,これまで未解決な問題のひとつであった。筆者は本年度のKac教授との共同研究で,スーパー・リー環から派生する或る代数多様体から生じる因子をBRST複体に付加することによってW代数を構成してこの問題を解決し,ランクの低いアフィン・スーパー・リー環のW代数を具体的に求めた。とくに,この方法で構成されるsl(2|1)^のW代数はN=2 super-conformal代数とcenterless Virasoro代数の直和であり,これによって,N=2 super-conformal代数の表現を,sl(2|1)^の表現論すなわちsl(2|1)^のadmissible表現を用いて調べる道が開かれた。この立場からN=2 super-conformal代数の表現を観るとき,現在知られているminimal系列の他に"semi-modular性"をもつ表現の系列が見える。この研究は現在更に進行中である。
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