研究分担者 |
志村 俊昭 新潟大学, 理学部, 助教授 (70242451)
高澤 栄一 新潟大学, 理学部, 助教授 (80222082)
小林 健太 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30283005)
田結庄 良昭 神戸大学, 発達科学部, 教授 (90030585)
豊島 剛志 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10227655)
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研究概要 |
本研究から得られた領家帯形成史は次の通りである.(1)20〜18億年:この年代は堆積岩源変成岩類のdepleted mantleを用いたモデル年代,領家花崗岩類と苦鉄質岩類のinherited zirconのU-Pb年代,一部花崗岩類のモデル年代から得られ,地下深所に18-20億年の原生代岩石類が存在している.これらのデータは領家帯の基礎はその全域ではないにしろ大陸的特徴をもっている事を示唆している.(2)17.5〜16億年:この年代は堆積岩源変成岩と一部花崗岩類のモデル年代から得られた.この年代のもつ意味については今後の検討が必要である.(3)2.2〜1.9億年:苦鉄質岩類のSm-Nd全岩アイソクロン,鉱物アイソクロンから得られた年代で,これら苦鉄質岩類の活動年代を示している(Okano et al.,2000).活動時は大陸的環境下にあったものと考えられる(Kagami et al.,1995).(4)1.7〜1.6億年:一部の苦鉄質岩のSm-Nd全岩アイソクロン,鉱物アイソクロンおよび花崗岩類のSm-Nd鉱物アイソクロンと花崗岩類のRb-Sr全岩アイソクロンから求められる.領家帯の一部の苦鉄質岩と花崗岩類はこの頃活動している.(5)1.25億年〜7千万年:領家帯に産する苦鉄質岩類,苦鉄質〜中性岩脈類,花崗岩類について様々な方法によりこの範囲の年代が得られる.苦鉄質岩類の場合は花崗岩類の貫入による熱的影響を示すものであり,苦鉄質〜中性岩脈類と花崗岩類の場合は活動時期とその後の冷却史を示している.後期白亜紀の火成活動は島弧あるいは大陸縁辺部的環境の下で行われた(Kagami et al.,1992).領家帯の苦鉄質岩類・花崗岩類と同様な同位体的特徴をもつ火成岩類は西南日本弧〜東北日本弧南部に広く分布している.この事は領家タイプの大陸性リソスフェアが本州弧の骨格をつくっている事を示している(加々美ほか,1999;2000).
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