研究概要 |
陸域あるいは水中で2次移動した火山砕屑物(volcaniclastics)について,ベッドロードであるか,堆積重力流堆積物であるか,後者の場合は,特にその粒子支持機構が乱流,流動化流,液状化流,粒子分散圧,マトリクス強度のいずれかであるのかを堆積物の粒度・密度・淘汰度をもとに定量判定する方法を構築することを目的として研究に取り組んだ. このため,本年度は,野外作業で主に陸成の2次移動火山砕屑物の堆積相記載と試料採取,それに粒度・密度測定システムの立ち上げ,実際の測定を行った.研究対象は,主に東海層群中のほとんどが火山ガラスと軽石で構成栄されるテフラとしたが,他にも東海〜近畿地方のテフラ,富山のテフラを対象とした.さらには,比較対象・試料を得るため,三瓶火山や大山火山の火砕堆積物についても一定の野外作業をした. 結果,測定システムがルーチンとして容易に測定できる状態になるとともに,実際の堆積物試料をもとに,測定結果から,堆積物をもたらした流体内での粒子支持機構について,乱流,流動化流,液状化流,粒子分散圧のいずれかであるかについての定量的な判定基準を確立するに至った.特に今回導入した粒度分析装置は,粒子沈降速度によらないで分析を行うので,火山砕屑物など粒子密度変化の大きな試料に適した装置であることが再確認できた.さらに,高密度洪水流の定性的な特徴,非火山砕屑性堆積物への判定式の応用が一部可能なこと,層序学的な新知見とともに,2次移動ではない火砕流そのものに対する定量解析(実際には流体粘性の見積もり)にも見通しを立てた. 今後は,火山砕屑物からなるタービダイトなどを例に,海域での2次移動堆積物の解析が必要である.
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