• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

植物細胞の分化を支える液胞の機能発現

研究課題

研究課題/領域番号 10440244
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

西村 いくこ  岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (00241232)

キーワード液胞プロセシング酵素 / 液胞膜タンパク質 / 種子 / 分解型液胞 / 油糧種子 / オルガネラ / 液胞の相互変換 / タンパク質蓄積型液胞
研究概要

高等植物の液胞は,貯蔵器官にみられるタンパク質蓄積型液胞と栄養器官の分解型液胞の2つに大別されている.両液胞は明確に区別されているにも関わらず,種子の成長の過程をみると,相互に変換が起こっている.この液胞の相互変換機構を解析するために,脂肪性種子のタンパク質蓄積型液胞に特異的に出現する膜タンパク質MP73の構造解析及び生合成の機構を解析した.MP73は,登熟期の中期に種子のタンパク質蓄積型液胞膜に集積されるが,種子の発芽期には,タンパク質蓄積型液胞が分解型液胞へ転換するのと並行して,消失していく.
MP73のcDNAを単離し,その構造解析を行うと共に,抗体を作製して,その生合成の機構を解明した.cDNAがコードするMP73の前駆体は,3kDのシグナルペプチド,24kDのプロペプチド,54kDの成熟型MP73ドメインからなっている.54kDの成熟型MP73ドメインの後半は約25kDのGlu/Arg richの繰り返し配列が存在し,この特徴的な構造のためにSDS-PAGE上の見かけの分子質量が73kDになると考えられる.架橋実験から,MP73は液胞膜上で複合体を形成していることが分かった.MP73を含めて,これまでにタンパク質蓄積型液胞に特異的な5種類の膜タンパク質の構造解析と抗体作製が完了したので,これらを用いて,タンパク質蓄積型液胞と分解型液胞の相互変換の機構の解析を次年度も引き続き進める予定である.
高等植物の2種類の液胞の機能転換は,上記の種子の形成及び発芽・成長の過程の他,花粉の成熟過程でも起こることが分かってきた.花粉の成熟過程において,貯蔵器官タイプと栄養器官タイプの2種類の液胞プロセシング酵素の遺伝子発現がみられることから,2種類の液胞がそれぞれ機能分担して働いていることが考えられた.シロイヌナズナの花粉の成熟過程における液胞(空砲)の形成と変換を電子顕微鏡観察で詳細に解析した.

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] Hiraiwa,N.: "Vacuolar processing enzyme is self-catalytically activated by sequential removal of the C-terminal and N-terminal propeptides." FEBS Let.(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] Kinoshita,T.: "Accumulation of a fusion protein containing 2S albumin induces novel vesicles in vegetative cells of Arabidopsis." Plant J.(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] Hayashi,M.: "Accumulation of a fusion protein containing 2S albumin induces novel vesicles in vegetative cells of Arabidopsis." Plant Cell Physiol.(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] Hara-Nishimura,I.: "Transport of storage proteins to protein storage vacuoles is mediated by large precursor-accumulating vesicles." Plant Cell. 10. 825-836 (1998)

  • [文献書誌] Yamada,K.: "Multiple functional proteins are produced by cleaving Asn-Gln bonds of a single precursor by vacuolar processing enzyme." J.Biol.Chem.274. 2563-2570 (1999)

  • [文献書誌] Hara-Nishimura,I.: "Vacuolar processing enzyme in protein storage vacuoles and lytic vacuoles." J.Plant Physiol.152. 668-674 (1998)

  • [文献書誌] I.Hara-Nishimura: "Asparaginyl endopeptidase." Handbook of Proteolytic Enzymes(Academic Press,London,UK). 746-749 (1998)

  • [文献書誌] 西村いくこ: "種子ができるとき-変身する液胞" 植物の生長 遺伝子から何が見えるか(クバプロ,東京). 23-31 (1998)

  • [文献書誌] 平岩呂子: "貯蔵たん白質の細胞内輸送と成熟化の機構の解析" 大豆たん白質研究(財団法人大豆たん白質栄養研究会、京都). 1. 6-11 (1998)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi