研究課題/領域番号 |
10450001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 啓司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20002313)
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研究分担者 |
細野 秀雄 東京工業大学, 応用セラミック研究所, 教授 (30157028)
後藤 民浩 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10311523)
山口 雅史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80239912)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | ガラス細工 / 光誘起現象 / カルコゲナイドガラス / アルモファス半導体 / 硫化物 / 電子励起 / ガラス転移 |
研究概要 |
本研究の成果は三つに分けられる。第一は光ガラス細工を発現するカルコゲナイドラスの基礎物性に関すること、第二はAs_2S_3などの共有結合性カルコゲナイドガラスの光ガラス細工に関すること、第三は(これは研究の過程で発見したものであるが)、銀などを含むイオン伝導性カルコゲナイドガラスの光変形現象である。以下に主要な成果を要約し、発表論文と口頭発表をこれら三つに分けて列記する。 基礎物性に関しては、ミクロ構造や電子状態をX線回折、ラマン散乱、光伝導などによって調べた。ミクロ構造については中距離構造の同定がガラス科学における積年の問題となっているが、本研究では、第一先鋭回折ピーク(First Sharp Diffraction Peak)やボゾンピークについての実験と考察を通じて、いくつかの新たな知見を得る事ができた。一方、光伝導スペクトルの研究から、アモルファス半導体のバンド端状態の熱励起特性を明らかにすることができた。 共有結合性ガラスの光ガラス細工については、そのメカニズムについての考察を深めることができたが、未だ最終的な理解には至っていない。たとえば、光ガラス細工を発現させるには、バンド端の状態密度と同程度以上の数の電子・正孔対を光励起させることが必要であることがわかった。しかし、これらのキャリヤーがどのようにしてガラス構造を軟化させるかは不明であり、さらなる研究が必要である。 イオン伝導性ガラスの光変形は、本研究の過程で発見した新現象である。銀を含むカルコゲナイドガラスが顕著な銀イオン伝導を示すことは以前から知られていたが、本研究では「光励起した電子・正孔の動きを通して銀イオンを移動させ得る」ことを実証できた。未知の部分も多々あり、今後のさらなる研究が待たれる。
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