研究概要 |
平成10年度の本研究では,新しい分光手法である相関領域分光法に関して以下の研究成果を得た. 1. 相関領域分光法の高速化 これまでの相関領域分光法の原理確認実験では,物質のインパルス応答を時間分解能50nsで測定できることを確認している.そこで,本年度はその分解能を高速化し,5ns以下の時間分解能での物質の光インパルス応答の測定を目標そして研究を行った.高速化のためには,測定装置の時間応答の高速化が必要であり,高速光検出器と設備備品として購入した高速デジタルオシロスコープの組み合わせにより,ほぼ目標通りの5ns程度の時間分解能での光インパルス応答の測定を実現した. 2. 広帯域波長可変周波数シフト帰還型レーザーの設計 レーザーの分光計測への応用では,その発振波長域が広帯域に可変であることが重要であり,これは相関領域分光法においても同様である.そこで,広い波長域で発振が可能なエルビウム添加ガラスを利得媒質とする周波数シフト帰還型レーザーの設計を行い,本年度はまずエルビウム添加ガラスの切削・研磨および特性測定を行った.さらにレーザー媒質として用いる場合の励起用半導体レーザーの検討を行った.また,広帯域波長可変光源のもう一つの候補として,エルビウム添加光ファイバーを利得媒質とする周波数シフト帰還型レーザーについても研究を行い,その発振を確認した.
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