研究概要 |
被災者発見用のセンサーフュージョンの開発を目的として、炭酸ガス検出型マイクロ呼気センサと赤外線検出型マイクロ体温センサ実現のための要素技術の開発を行った。 呼気センサに関して、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキエチル)エチレンジアミンを感応膜とする水晶振動子式炭酸ガスセンサおよびその性能を検討するための基準ガス供給評価装置を作製した。水晶振動子式炭酸ガスセンサは、大気から人間の呼気中の炭酸ガス濃度に相当する0.04〜4%という低濃度においても高い感度があり、またこの濃度範囲で高い分解能を持つこと、応答速度は数min以内であることを明らかにした。 体温センサに関して、赤外線センサ材料である焦電セラミックスPZT薄膜をスパッタリングによって形成した。ペロブスカイト構造のPZTを得るためには、基板温度などの成膜条件よりも成膜後のアニールが重要であり、特に10℃/s以上の昇温速度が決定的な要因であること、雰囲気(酸素、窒素、大気)には依存しないことを明らかにした。形成したPZT薄膜の焦電定数を測定し、成膜条件、アニール条件の影響を検討した。形成したPZT薄膜はSF_6ガス中の反応性イオンエッチング(RIE)でパターニングできることを明らかにした。 水晶振動子およびSAWデバイスに金電極薄膜やZnOなどの機能性薄膜をパターン状に形成するためのシャドーマスクの形成方法を検討し、電解フォトエッチングによる金属基板上への微細パターン形成法を開発した。赤外線センサ用のセラミックス系基板のパターニング関して、高温リン酸中のフォトエッチング技術を開発した。呼気検出用の気流覚センサに関して、白金薄膜(幅20μm、長さ1mm)のヒータと測温抵抗体からなる熱伝導型マイクロフローセンサを作製した。
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