レーザやアークによる熱加工状態は、その温度場に反映される。加工中の温度場が正確に計測できれば、その温度場から熱加工状態が推定できるはずである。本研究では、このような観点から、温度場によるレーザ溶融加工プロセスのモニタリング手法について検討している。 平成10年度は、以下の2点に注目し、検討した。 [溶融加工部の温度計測手法について] イメージ・インテンシファイアとCCDカメラとを組合せた紫外線放射測温装置を新しく試作し、比較的簡単な計測対象へ適用した。結果として、極めて鮮明な紫外線画像が得られ、予想通りの高い計測精度が期待できることを確認した。また、ここで提案した計測法では、アークプラズマやレーザプルームの影響を受け易いことも判った。今後、これらノイズの計測への影響とノイズの除去方法を検討する必要がある。また、同じ観点から、紫外線法に加え、CCDカメラによる赤外線放射温度計測についても検討 する予定である。 [温度計測データによる溶融加工部のモニタリング手法について] GTA(アーク)溶接の場合を対象に、熱伝導を基本とする計算モデルを用いて、最適溶接条件を推定し、かつ計測した温度を用いて計算モデルのパラメータを修正(同定)するシステムを試作し、温度計測による溶融加工プロセスのモニタリングの可能性を示した。今後は、より高度な系を対象に検討する予定である。
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