研究概要 |
本研究の目的は多細胞生物系のモデル生物としてのカイコの全遺伝子を同定し、特に多細胞系特有の遺伝子を同定するとともに、将来のカイコゲノム解析のためのESTデータベースを構築し、遺伝子ライブラリーの整備をおこなうことである。このため、カイコのcDNAカタログ化を進めた。具体的には、カイコの多数の組織からcDNAライブラリーを作製し、各ライブラリーのcDNAクローンの塩基配列を大量に決定し、ホモロジー検索により遺伝子分類をおこなう.平成10年度では約20種類のcDNAライブラリーから約15,000cDNAクローンの塩基配列を決め、5,000遺伝子を同定した.これはカイコの全遺伝子の約1/3をカバーする。また、遺伝子分類とともに各ライブラリーでの遺伝子発現頻度を示す遺伝子発現プロフィールも同時に解析するプログラムを作製し、機能的ESTデータベースを構築するという成果をあげた.これまでに多細胞生物系特有の遺伝子としてアポトーシス関連、知覚・神経系関連、発生・分化関連また性決定に関わる遺伝子、概日リズム関連遺伝子など多数の興味ある遺伝子が同定されている.本研究で決めた約7,000ESTシーケンスはすでに公共データベースDDBJに登録し、公開されている。国内外の多数の研究者からのESTデータベース利用の要請が来ている。
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