研究概要 |
本研究の目的は多細胞生物系のモデル生物としてのカイコの全遺伝子を同定し、特に多細胞系特有の遺伝子を同定するとともに、将来のカイコゲノム解析のためのESTデータベースを構築し、遺伝子ライブラリーの整備をおこなうことである。このため、カイコのcDNAカタログ化を進めた。平成12年度までに30種類のcDNAライブラリー(様々な組織・発生段階から作成)から24,000cDNAクローンの塩基配列(EST)を決定し、8,500遺伝子を同定した。これはカイコの全遺伝子の40%以上をカバーする。これらのESTはホモロジー検索を行って遺伝子分類し、カイコESTデータベースとしてまとめた。また、遺伝子分類とともに各ライブラリーでの遺伝子発現頻度を示す遺伝子発現プロフィールも同時に解析するプログラムを作製し、機能的ESTデータベースを構築するという成果をあげた。これまでに多細胞系特有の遺伝子としてアポトーシス関連、神経系関連、発生・分化関連、性決定に関わる遺伝子、ホルモン制御関連、概日リズム関連遺伝子など多数の興味ある遺伝子が同定されている。これらESTのうち14,500を公共データベースDDBJ/GenBank/EMBLに登録し、公開した。また、全ESTデータベースを'SilkBase'吐してインターネット上でhttp://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/silkbaseのサイトで公開し、国内外の多数の研究者や企業が連続的にサーバーへアクセスしてきている。さらに、本ESTデータベースをもとに、ESTマイクロアレイ作成やBACコンティーグによる遺伝子地図作成への研究へと飛躍的に発展している。
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