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1998 年度 実績報告書

アルコールと内因性急死に関する法医学的研究(血管の反応性を中心として)

研究課題

研究課題/領域番号 10470121
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

羽竹 勝彦  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40164842)

研究分担者 若林 一郎  山形大学, 医学部, 教授 (70220829)
キーワードラット / 上腸間膜動脈 / ニコチン / CGRP
研究概要

血管には拡張神経の存在も知られており,摘出血管壁に経壁的に電気刺激を与えると弛緩反応が生じる。しかしながら,この神経を介した弛緩反応に対するエタノールの影響はいまだ検討されていない。ニコチンは種々の血管において経壁的電気刺激と同様にneuro-transmitterを放出させる作用をもっている。平成10年度においてラットの上腸間膜動脈を用いてニコチンの弛緩反応に対するエタノールの影響を検討した。血管を支配する神経の末端から遊離される拡張物質としてVIP,ATP,calcitonine gene related polypeptide(CGRP)やsubstance Pなどが知られている。ethanolはニコチンによる弛緩反応を抑制した。従って,本年度はこの抑制機序を明らかにすべく実験を行った。ニコチンの弛緩作用はVIP阻害剤,basilen blue,indomethacinで抑制されなかったことからVIP,ATP,prostacyclinの関与は否定的であり,またsubstance Pはニコチンと異なって内膜依存性弛緩反応を示すためこの物質の関与も否定された。またN^G-nitro-L-arginineによりニコチンの弛緩作用は抑制傾向はあったものの有意ではなかったことから,NOの関与は少ないと考えられた。一方,capsaicinは神経末端に貯蔵されているCGRPを枯渇させる作用があり,ニコチンの弛緩作用はcap-saicin処理により明らかに抑制されたことからCGRPが関与していることが考えられる。またニコチンの弛緩作用はCa-free mediumで著名に抑制された。この結果はCGRPによる弛緩反応はCaに依存しているという報告と一致する。従って,ethanolによるニコチンの弛緩反応の抑制は主としてCGRPを介した作用と考えられる。またethanolは外因的に投与したCGRPの弛緩反応を抑制しなかったので,その抑制作用は平滑筋ではなくpresynapticなレベルにあると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] I.Wakabayashi,K.Hatake,S.Hishida: "Ethanol inhibits intra-and extracellular Ca^<2+>-dependent contraction of rat aorta by different mechanisms" Jpn.J.Alcohol & Drug Dependence. 33(3). 273-286 (1998)

  • [文献書誌] 羽竹勝彦、井上貴弘、森村佳史: "ラット上腸間膜動脈におけるニコチンによる弛緩反応に対するエタノールの抑制効果" 日本アルコール・薬物医学会雑誌. 33(4). 486-487 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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