研究概要 |
本年度は、APC遺伝子変異の発生機序の解明のため、APC遺伝子変異解析法の効率化を目指すべく、1)新しいAPC遺伝子変異の解析法の開発、および2)大腸癌の発生と深く関わるミスマッチ修復遺伝子異常を発生母地としたAPC遺伝子の不活性化機序の解析準備を行った。 1) 新しいAPC遺伝子変異の解析法の開発 a) 既に開発済みであるSCアッセイ法(Ishioka et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,2449-2453)を更に改良して効率化を進めた5-フルオロオロチン酸含有培地(ネガティブ選択)によるAPC遺伝子異常変異解析法の開発に成功した。(論文投稿中) b) a)により検出したAPC遺伝子異常クローンのAPC遺伝子翻訳領域での変異部位同定を効率化するためYPTT法(Yeast-based prutein truncation test,Suzuki et al.Genes Chromosome & Cancer 290-297,1998)を開発した。これよりAPC遺伝子変異のスペクトラム解析の効率化を進めた。 2) ミスマッチ修復遺伝子欠損酵母株の作成とAPC遺伝子不活性化機序の解明 a) hMSH2とhMLH1遺伝子の酵母ホモログの欠損株作成し(Shimodara et al.NatureGenet.,384-389,1998)、それらの欠損株と野生型の親株に対し遺伝子相同組換えを用いてヒトAPC遺伝子の導入を行った。現在、それによって新たに生じたAPC遺伝子異常の解析を進めている。
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