研究概要 |
本年度は、昨年度に開発した新しく効率化を計ったAPC遺伝子異常のスクリーニング法を用いて、酵母のミスマッチ修復遺伝子異常系のAPC遺伝子変異スペクトラム解析を行い、ミスマッチ修復系に異常のない環境下でのAPC遺伝子異常の出現頻度とスペクトラムの特性の違いを文献的考察も加えて検討した。更に環境因子によるAPC遺伝子異常の発生モデルの作成準備に取りかかっている。 a)既に開発済みであるSCアッセイ法(Ishioka et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,2449-2453)を更に改良して効率化を進めた5-フルオロオロチン酸含有培地(ネガティブ選択)によるAPC遺伝子異常変異解析法の開発により、APC遺伝子異常のスクリーニング法の明らかな効率化が図られた。(鈴木、他:がんの遺伝的感受性-発がんの遺伝的要因とその診断法-癌と化学療法26,1971-1979,1999) b)既に開発済みである酵母のMSH2遺伝子欠損株、MLH1欠損株、MSH2とMLH1の欠損株作成し(Shimodaira et al.Nature Genet.,.384-389,1998)、それらの欠損株と野生型の親株に対し遺伝子相同組換えを用いてヒト野生型APC遺伝子の導入を行った。a)に示したアッセイを行い、野生型に対して明らかに高頻度のAPC遺伝子変異率の上昇を認めた。選択されたコロニーをシーケンス解析したところ、simple repeat sequenceを中心とする特定の変異スペクトラムを認め、野生型への導入時と明らかにスペクトラムの差異を認めた。現在、ほぼ遺伝子解析は終了しており、文献的考察も含めて投稿準備中である。
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