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1998 年度 実績報告書

進行性腎障害に対する遺伝子治療

研究課題

研究課題/領域番号 10470217
研究種目

基盤研究(B)

研究機関大阪大学

研究代表者

今井 圓裕  大阪大学, 医学部, 助手 (00223305)

研究分担者 猪阪 善隆  大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
金田 安史  大阪大学, 医学部, 教授 (10177537)
守山 敏樹  大阪大学, 健康体育部, 講師 (30283815)
キーワード進行性腎障害 / 遺伝子治療 / TGF-β
研究概要

糸球体硬化の進展を阻止する治療法の開発は腎臓病学における最も重要な課題である。最近、我々は増殖因子であるTGF-β糸球体での過剰発現が糸球体硬化病変の直接の因子であることを示し、さらにアンチセンスDNAを利用して腎での増殖因子の遺伝子発現を抑制する遺伝子治療に取り組んできたが、本年度は、TGF-β異的阻害物質として、TGF-βtypeIIセプターの細胞外ドメインのcDNAをヒトIgのFc部分のcDNAに融合し、発現ベクターpCAGGSのCMVエンハンサー/chickenβ-adinプロモーターの下流に接続し、キメラ分子発現ベクターを作製し、腎での増殖因子の作用発現をレセプターのレベルで阻害することによる進行性腎障害に対する遺伝子治療法の開発を目指し、以下の結果を得た。i)培養BNul-7細胞においてもTGF-βは濃度依存性に細胞増殖抑制効果を示しているが、TGF-βR-Fcキメラ分子を培養上清中に添加することによりTGF-ベータによる細胞増殖抑制効果は完全に抑制された。ii)TGF-β添加により培養NRK細胞においてEIIIA^+ファイブロネクチンは著増したが、キメラ分子はこの産土をほぼ完全に抑制した。iii)このキメラ分子発現ベクターをラット抗Thy-1腎炎モデルに導入することにより、筋肉で過剰発現したキメラ分子は腎糸球体に作用しTGF-βによる細胞外基質産生作用を抑制することが確認された。iX)糸球体のmRNAレベルは同群でTGF-β1・I型コラーゲン・ファイブロネクチンのmRNAが抑制されていることが確認された。
以上、TGF-βの特異的阻害物質として、TGF-βR-Fcキメラ分子を用いて、腎での増殖因子の作用発現をレセプターのレベルで阻害できることが可能となった。また、TGF-βR-Fc分子発現ベクター遺伝子の筋肉への遺伝子導入により、過剰発現したキメラ分子を血流を介して作用させることによりTGF-βの過剰発現による進行性腎障害に対して、遺伝子治療の可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Enyu Imai and Yoshitaka Isaka: "Strategies of gene transfer to the kidney" Kidney Int. 53. 264-272 (1998)

  • [文献書誌] Isaka Y,et al: "The HVJ Liposome Method" Experimental Nephrology. 6. 144-147 (1998)

  • [文献書誌] Imai E,et al: "Gene transfer and kidney disease" Journal of Nephrology. 11,2. 16-19 (1998)

  • [文献書誌] Imai E,Akagi Y,Isaka Y: "Towards gene therapy for renal diseases" Nephrologie. 19. 397-402 (1998)

  • [文献書誌] Isaka Y,et al: "Cytokines and glomerulostleroris" Nephrology Dialysis Transplanation. 14. 30-32 (1999)

  • [文献書誌] Isaka Y,et al: "Gene therapy by transforming growth factor-β receptor-IgG Fc chimera suppressed extracellular matrix accumulation in experimental glomerulonephritis" Kidney International. 55. 465-475 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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