研究課題/領域番号 |
10470217
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今井 圓裕 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00223305)
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研究分担者 |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
金田 安史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 講師 (30283815)
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キーワード | 糖尿病性腎症 / TGF-β / 遺伝子治療 / 糸球体肥大 / 糸球体基底膜肥厚 |
研究概要 |
糖尿病性腎症モデルラットは糸球体硬化病変のモデルの一つであり、糖尿病性腎症の初期病変である腎肥大、糸球体肥大にTGF-β発現が関与していることが最近報告されている。本研究ではTGF-βの特異的阻害物質として、TGF-βレセプターの細胞外ドメインとヒトlgGのFc部分からなるキメラ分子(TGFβRFc)発現ベクター糖尿病ラット筋肉に導入し、糖尿病性腎症に対する遺伝子治療法の開発を目指した。血糖値は糖尿病ラットにおいて無治療群、キメラ遺伝子導入群で差を認めなかったが、腎重量/体重比はキメラ遺伝子導入群で無治療群に比し有意に小さく、糖尿病性腎症の初期病変である腎肥大がキメラ遺伝子導入群により抑制されいていた。単離糸球体のNorthern blot analysisにより、無治療の糖尿病モデルラットにおいては正常ラットに比し、糸球体のTGF-βmRNAレベルは著増していたが、キメラ遺伝子導入群では、糸球体のTGF-βmRNAの増加は抑制されていた。また、このTGF-βmRNAの抑制に相応して、糖尿病性腎症の初期変化であるglomerular hyper trophyの進展も抑制し得た。さらに、糖尿病性腎症の初期病変のひとつである糸球体基底膜肥厚への影響を検討したところ、糖尿病性腎症モデルラットにおいては正常ラットに比し、糸球体の係蹄壁の肥厚が認められたが、キメラ遺伝子導入群では、糸球体の係蹄壁の肥厚は抑制されていた。以上から、糖尿病性腎症モデルラットを用いたinvlvoの検討により、TGFβRFcキメラ分子の遺伝子導入は、糸球体でのTGF-β作用を抑制することにより、糖尿病性腎症の初期病変である、腎肥大・糸球体肥大・糸球体基底膜肥厚を抑制し、細胞外基質蛋白の発環をmRNAレベルで抑制することが確認された。
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