研究課題/領域番号 |
10470286
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
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研究分担者 |
濱田 洋文 (財)癌研究会, 分子生物治療研究部, 部長(研究職) (00189614)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
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キーワード | 遺伝子治療 / アデノウイルスペクター / 脳腫瘍 / アポトーシス |
研究概要 |
遺伝子治療を行うにあたりまず問題となるのが導入遺伝子の種類とベクターである。アデノウイルスは293細胞を利用して作り、精製後再びこの細胞でウイルス濃度を測った後に実験に利用している。このウイルス濃度の測定は常に一定の条件下で実験を進めるためには重要である。ところがアポトーシス誘導遺伝子を導入した場合その遺伝子により293細胞にアポトーシスが起きてしまい正確な濃度測定が出来ない、即ち他の遺伝子治療との比較、コントロールのデータとの比較が不可能という問題があることが判明した。このためアポトーシス耐性の293細胞を作りこれを用いてアポトーシス誘導遺伝子導入ウイルスを作製した。一口にアポトーシスといってもその経路は様々であり、まず経路の確定しているFasとFas ligandを用い、293細胞にはこれをブロックするCrmAをレトロウイルスをもちいて導入した。この結果正確にウイルスが精製できるようになった。今後はこの手法を応用しアポトーシス誘導遺伝子導入ウイルスを作製する。特にこれまでのp53導入アデノウイルスが重要である。 アデノウイルスのK20/fiber knobは悪性神経膠腫に野生型アデノウイノレスの約十倍の高効率で導入されるが、これにより非常に低い濃度でも十分量のタンパクが発現されることがインターロイキン2&12をreporter geneとして用いることにより確認できた。 治療実験の一方で悪性腫瘍の生物学的特性を調べこれを治療に応用することも我々の仕事の重要な要素である。転移性脳腫瘍においてはGM3とGT1bの二つのgangliosideが脳転移のマーカーに成る得る事を突き止めた。また、悪性脳腫瘍の一つであるhemangiopericytomaの悪性進展にはp53の蓄積が重要であることを見つけ、今後この腫瘍もp53遺伝子治療の対象として考えていくための基礎を築いた。
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