研究課題/領域番号 |
10470286
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平川 公義 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00010166)
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研究分担者 |
高田 義章 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00216665)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
濱田 洋文 (財)癌研究会, 分子生物治療研究部, 部長 (00189614)
山本 信二 東京医科歯科大学, 医学部, 助手
太田 禎久 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70311652)
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キーワード | 悪性神経膠腫 / 遺伝子治療 / アデノウイルス / アポトーシス / p53 / F / K20 fiber mutant adenovirus / 抗アポトーシス因子 / 悪性髄膜腫 |
研究概要 |
現在、遺伝子治療の臨床治験で使用されるベクターの多くはアデノウイルスである。我々はこれをベクターとして利用し、p53遺伝子を組み込んだAxClhp53を作り、悪性神経膠腫の細胞株に使用してみたが、ほとんどの細胞で有効ではなかった。そこでアポトーシスを誘導できるU373MG株を用いて耐性株、U373Rを樹立した。この耐性株に対する野生型アデノウイルスベクターの導入効率は極めて低く、親株の25分の1であった。アデノウイルスの細胞内への取り込みはfiber knob receptor即ち、CARとpenton base receptorであるintegrinの二つの受容体により行われている。これら受容体を調べたところ、U373MGではCARではなく、integrin αvβ3とαvβ5の発現量が親株に比べ有意に低下していた。即ち、この耐性株はp53に対する耐性獲得では無く、integrinの発現が低下することによりアデノウイルスに対して耐性となっていることを証明した。これは、アデノウイルスベクター全体に関わる重要な発見であり、今後アデノウイルスが頻繁に臨床で使われるようになったとき、このベクター耐性の腫瘍細胞が出てくることが示唆される。一方で、濱田らによりアデノウイルスのfiber knob mutantが作られ、これが悪性神経膠腫で非常に有用であることを以前報告した。そこでこのアデノウイルスのF/K20を耐性株に使用したところ、顕著に導入効率を上昇させ、更に、このベクターにp53を組み込んだAxCAhp53-F/K20を耐性株に応用したところ、耐性株はアポトーシスを起こした。以上より、F/K20 fiber mutant adenovirusは悪性神経膠腫だけではなくアデノウイルス耐性腫瘍にも有効であることが示唆された。現在これに関しての論文を投稿中である。また、integrinの発現量低下以外の機序による耐性株も二株樹立されており、現在その機序の解明に取り組んでいる。これら以外にも濱田らによりアポトーシスと抗アポトーシス因子の関係の解明やアデノウイルスを用いての基礎的治療実験が行われ,論文にて発表してきた. 治療実験の一方で悪性腫瘍の生物学的特性を調べこれを治療に応用することも我々の仕事の重要な要素である。悪性脳腫瘍の一つである悪性髄膜腫の悪性進展にはp53の蓄積が重要であることを見つけ、論文で発表した。今後この腫瘍もp53遺伝子治療の対象として考えていくための基礎を築いた。
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