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1998 年度 実績報告書

多細胞スフェロイド系を用いた放射線抵抗性低酸素性細胞の出現調節機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10470399
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

佐々木 武仁  東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90013896)

研究分担者 三浦 雅彦  東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10272600)
キーワード放射線抵抗性 / IGF-IR / アポトーシス / スフェロイド / 低酸素性細胞 / 神経膠芽腫細胞
研究概要

多くの実験腫瘍における放射線抵抗性の低酸素性細胞分画の大きさは、腫瘍によって大きく異なり、同じ病理学的形態を示す腫瘍間でも同様な変動が見られることが知られている。しかし、その分子レベルでの機構は明らかにされていない。一般に低酸素状態では、腫瘍細胞は低栄養、低pHの環境にさらされ増殖停止をおこし、アポトーシスが引き起こされやすい状態となっている。従って、アポトーシスを制御する遺伝子産物が、低酸素性細胞分画の大きさに影響を与えている可能性が考えられる。最近、増殖因子レセプターのInsulin-like growth factor I receptor(IGF-IR)が、様々な原因によって引き起こされるアポトーシスを強力に抑制することが明らかとなり注目されている。本年度は、このIGF-IRの発現が、低酸素分画の大きさに影響を与えるかをヒト悪性神経膠芽種細胞(GBA-7)のスフェロイドモデルを用いて検討した。この目的のために、親細胞株にヒトIGF-IR cDNAを含むプラスミドとpuromycin抵抗性遺伝子を含むプラスミドをcotransfectしてpuromycinにて選択し、親細胞の約8倍のIGF-IRレベルを有する細胞を樹立してA-7(R)とした。対照としてpuromycin抵抗性遺伝子のみ発現する細胞A-7(puro)を用いた。IGF-I刺激によるIGF-IRの自己リン酸化、その下流のIRS-1、MAPKの活性化は、いずれもA-7(R)において亢進していることが示された。単層培養下での両細胞の増殖率に有意差はみられなかった。静置培養法によって作成されたスフェロイドの増殖率は、A-7(R)において有意に高いことが示された。静置培養法並びに回転培養法にて培養された直径約400μmのスフェロイドの組織切片を作成しその内部構造を観察すると、A-7(puro)では無細胞構造を有する中心壊死部が認められたのに対し、A-7(R)ではそれがintactな細胞で占められていた。この所見は静置培養法において顕著であった。興味深いことに、壊死部近傍にアポトーシス像はほとんど認められなかった。このことは、本実験系において、IGF-IRの高発現がスフェロイド内部の低酸素状態によって引き起こされる壊死を抑制したことを示唆している。現在これらのスフェロイドの放射線感受性を検討している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Takehito Sasaki: "Room temperature-induced apoptosis of Jurkat cells sensitive to both caspase-1 and caspase-3 inhibitors." Cancer Letters. 132. 7-16 (1998)

  • [文献書誌] 佐々木武仁: "一日多分割照射法の有用性に関する臨床試験;(中間報告)" 日放腫会誌. 10. 171-175 (1998)

  • [文献書誌] 佐々木武仁: "化学療法併用放射線療法の生物学的基礎" 日放腫会誌. 10. 195-204 (1998)

  • [文献書誌] 佐々木武仁: "放射線治療におけるQOL評価法の確立に関する研究" 日放腫会誌. 10. 177-180 (1998)

  • [文献書誌] Masahiko Miura,Takehito Sasaki: "Factors affecting mandibular complications in low dose rate brachytherapy for oral tongue carcinoma with special reference to spacer." Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.41. 763-770 (1998)

  • [文献書誌] 三浦雅彦: "PCNAとDNA修復" 放射線生物研究. 33. 265-281 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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