研究概要 |
申請者らの発見した合成法でαおよびβ-シクロデキストリン(CDと略)の2,3-アロエポキシドを合成し,それぞれにベンジルメルカプタンを作用した後,それぞれのCDからの二種のベンジルチオ体を逆相カラムにて分離し,構造決定した.単離した生成物を還元し,生成するメルカプタンをDMSO酸化し,二級側でジスルフィド結合で連結したホモ二量体4種を合成した.α及びβ-CDの2,3-マンノエポキシドから同様の方法によってそれぞれ一種,二種の二級側で連結したホモ二量体を合成した.一方,β-CDの6-OH1個をスルホニル化し,チオ尿素と反応させてチオウロニウム塩とした後,アルカリ処理によってメルカプタンし,これををジピリジニウムジスルフィドと反応させ,混合ジスルフィドとする.こうして得た混合ジスルフィドを,上記の二級側で連結した二量体を還元して得たメルカプタンと反応させることによって,一級側と二級側がジスルフィド連結したヘテロCD二量体五種を合成した.さらに一級側でα,β及びγ-CDがジスルフィド結合で連結したホモ二量体三種,ヘテロ二量体三種を合成した.加えて,二級水酸基側の同じ位置を同じ様式でスルフィド連結したβ-CDホモ二量体三種を,異なった位置を連結したヘテロ二量体一種を合成した. 合成してきた数多くの二量体のホストとしての分子認識能を,細長い基質分子のモデルとして採用したメチルオレンジをゲストとし,円二色性,UV・可視スペクトルによって会合定数を尺度として,目下,評価している.
|