研究概要 |
α-及びβ-CDの2,3-アロエポキシドを原料とし二級側でジスルフィド結合で連結したホモ二量体4種,α-及びβ-CDの2,3-マンノエポキシドからそれぞれ二級側で連結したホモ二量体(計3種),β-CD一級側と二級側をジスルフィド連結したヘテロCD二量体5種,さらに一級側でα,β及びγ-CDがジスルフィド結合で連結3たホモ二量体3種,ヘテロ二量体3種,加えて,二級水酸基側の同じ位置を同じ様式でスルフィド連結したβ-CDホモ二量体3種を,異なった位置を連結したヘテロ二量体1種について,分子認識能を検討した.即ち,これらの二量体のホストとしての分子認識能を,細長い基質分子メチルオレンジに対する会合定数によって評価した.最も大きな会合定数を示したのは,α-CDのC3とβ-CDのC6をジスルフィド連結した二量体(会合定数606,000/M),β-CDのC6同士をジスルフィド連結した二量体(会合定数583,000/M),及びβ-CDのC2(この部分の糖はアルトロシドに変換している)とβ-CDのC6をジスルフィド連結した二量体(会合定数119,000/M)であり,最も小さい会合定数を示したものは,β-CDのC3同士をジスルフィド連結した二量体(会合定数1,540/M)及びβ-CDのC2(この部分の糖はアルトロシドに変換している)同士をジスルフィド連結した二量体(会合定数2930/M)であった(因みに,β-CDの示す会合定数は,2970/M).同じゲストに対してCD二量体の結合部位を変化させるだけで394倍も会合定数は変化する.以上の結果と,合成の容易さを考慮して,官能化二量体の素材として,β-CDのC6同士をジスルフィド連結した二量体を選んだ.目下,この二量体の適当な位置に触媒基となりうるイミダゾール,カルボキシル基を導入することを検討している.
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