研究課題/領域番号 |
10480047
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
栗原 豪彦 北海道大学, 言語文化部, 教授 (40000608)
|
研究分担者 |
菅 泰雄 北海学園大学, 人文学部, 教授 (30154438)
野沢 俊敬 北海道大学, 言語文化部, 教授 (60113601)
山田 吉二郎 北海道大学, 言語文化部, 教授 (40091516)
竹中 のぞみ 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (20227044)
|
キーワード | サウンドスペクトログラフ(ソナグラフ) / 基本周波数とフォルマント軌跡 / LPCスペクトロ包絡 / Voice-Onset Time(VOT) / 転移(母語の干渉) / FFT図 / 声道断面図 / F1-F2相関 |
研究概要 |
研究実施計画に従い、まず本研究グループが共通に収録する日本語資料として、過去の研究を踏まえた日本語の発音上の特徴と困難点を含む「音声調査票」を作成した。単音節(音節表)と母音(長母音を含む)、数字、清濁、促音、拗音などを含む単語群、ある種の母音連続と子音および音節構造を含む各種の語句、さらに特徴的なアクセント、日常のあいさつ、決り文句や母語の干渉(転移)の起こりやすい短文及び談話(「桃太郎」と「北風と太陽」)を含むかなり包括的な調査票である。各分担者がこれに担当言語の特性から割り出した独自の材料を補足して収録に当たった。これまで各研究者は、平均8〜10人の初級、中級、上級レベルの非母語話者(インフォーマント)及び二名の男女母語話者(レファレンス資料となる)から音声資料を集めた。 実際の分析作業は、分析機器の納入遅れやDSPボードの初期不良などでやや出遅れたが、既成の日本語版『マニュアル』の補足マニュアルを作り、分析作業の研究会を行ないながら、これまで予備的な分析を行った。内外の研究資料に当たるとともに、音声分析ソフト開発者・専門家から聞き取りを行ない分析方法を学び、問題点を洗いだしているが、分節音及び韻律的特徴に表れる母語の転移をみる際に、形態論的構造や地元北海道方言の干渉なども考慮して特徴を抽出する必要性が明らかになった。予想通り、分節音と韻律的特徴の両面で、個人的特徴と母語の転移による共通特徴との区別の難しさが浮き彫りになり、母音と子音のスペクトログラフ及びフォルマント分布からIPA記号との照合を可能にする解読技能を身につけ、より妥当な一般化をめざして、さらに多様なデータを収録する準備を進めている。
|