キラリティーデータベースのモデルの開発および構築と運用に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10554035
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 原田 宣之 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006324)
• 研究分担者: 後藤 仁志 豊橋技術科学大学, 工学研究科, 助教授 (60282042)
• キーワード: キラル化合物 / 分子キラリティー / データベース / CDとUVスペクトル / ORDスペクトル / 絶対立体化学 / 旋光性と円二色性 / インターネット化

研究概要

最近のバイオサイエンスの発展にはめざましいものがあり、生物活性化合物の構造、特に絶対配置を含めた立体化学は、基本的な情報として重要である。本研究では分子キラリティーの情報をデータベース化し、インターネットに乗せて全世界に発信するための研究を目的としている。分子キラリティーのデータとしては、1)旋光性および円二色性と絶対立体化学のデータ、2)X線結晶解析と絶対構造のデータ、3)NMRによるキラル認識と絶対立体化学のデータ、4)キラルHPLCによる光学分割のデータ、5)キラルプールやキラル補助基のデータ等をデータベース化する。また、データベースを各国の研究者が容易に閲覧できるためのインターネット化の環境整備を行う。
1. 我々はキラル化合物のCDとUVスペクトルおよび絶対立体化学のデータベース化を世界で初めて行った。CDスペクトルの帰属と解析にはUVスペクトルの情報は必須であり、両スペクトルを図形として同時に見ることを可能にした。また化合物の絶対立体化学は図形として表示し、容易に認識出来るようにした。また、化合物とスペクトルのキーワード、スペクトルの測定条件、文献などを入れられるようにした。さらにORDスペクトルの登録を開始した。
2. データベースを公開するには、製本、CDROM、インターネットなどの記録媒体があるが、便利さからインターネットが最適である。このため、データ集積用高速ワークステーションと大容量ディスクアレイを導入し、スピードアップをはかった。
3. 我々は本データベースの作成に際して信頼あるCDとUVスペクトルデータを登録することにしている。このため、世界中のCDを専門に研究している研究者に呼びかけエアー夕の提供を受ける環境整備を行った。また、サンプルの提供を受け当研究室で測定して登録を行っている。

研究成果

• [文献書誌] H.Goto,N.Harada: "Absolute Configuration of Chiral Fullerenes and Covalent Derivatives from Their Calculated Circular Dichroism." J.Chem.Soc.Perkin 2. 1719-1723 (1998)
• [文献書誌] T.Hattori,N.Harada: "Is the CD Exciton Chirality Method Applicable to Chiral 1,1'-Biphenanthryl Compounds?" J.Am.Chem.Soc.120. 9086-9087 (1998)
• [文献書誌] N.Koumura,N.Harada: "Photochemistry and Absolute Stereochemistry of Unique Chiral Olefins,trass-and cis-1,1',2,2',3,3',4,4'-Octahydro-3,3'-dimethyl-4,4'-biphenanthrylidenes." Chem Lett.1151-1152 (1998)
• [文献書誌] 原田宣之: "コットン効果" 化学. 54,#2,. 51-53 (1999)
• [文献書誌] R.W.J.Zijlstra,N.Harada: "Chemistry of Unique Chiral Olefins.Part 4.Theoretical Studies of the Racemization Mechanism of trans-and cis-1,1',2,2',3,3',4,4'-Octahydro-4,4'-biphenanthrylidenes." J.Org.Chem.(in press). (1999)
• [文献書誌] S.Kuwahara,N.Harada: "Enantioresolution and Absolute Stereochemistry of 2-(1-Naphthyl)propane-1,2-diol and Related Compounds." Enantiomer. (in press). (1999)
• [文献書誌] N.Harada: "'Circular Dichroism Spectroscopy and Absolute Stereochemistry of Biologically Active Compounds,'in R.Cooper and J.K.Snyder,Ed.,“Advanced Bioorganic Chemistry"(in press)" Marcel Dekker,Inc.,New York, (1999)