研究概要 |
本年度は、まず本校の大型無響水槽の吸音材を追加整備した後、音響伝搬の基本特性の測定を行った。次に、水中音響による安定的な情報伝送が可能なディジタル変調方式についてのシミュレーションを行いその結果,FSK変調方式がノイズに強く,安定している事を確認し採用した。FSK変調用及復調用集積回路を調査した後,EXAR製のICを用いて変調回路及び復調回路を試作した。情報伝送用のパソコンインターフェースの設計製作を行い,大型無響水槽での水中情報伝送実験を行い良好な結果を得た。 次に移動可能な小型水中ロボットを設計した。設計に先だってできるだけコンパクトな水中ロボットとするために,ロボットの大きな領域を占めているプロペラの小型化と個数の削減を目標に推進方式とプロペラの種類を検討した。その結果,1個のプロペラで可変翼を制御する事により,全方向に推力を発生することのできるバリベックプロペラを採用し,可変翼機構部や制御部を製作した。バリベックプロペラの制御はラジコンヘリコプタ用のシュワッシュプレートに小型サーボモータを連結し,それをプログラマブル論理素子を用いてPWM制御することで実現した。水中音響による水中ロボットの制御システムを検討し,情報の送信から受信,ロボットの制御までをモジュール化した並列分散方式の制御システムを構築した。モジュールの中枢部には汎用ワンチップマイコンを用い,相互の情報伝送にはシリアルポートを使用用した。以上を統合して全体のシステムを構成した後,水中音響を用いてロボットの運動制御実験を行った結果,指令通りの運動制御が実現した。 一方,水中ロボットから画像を伝送する場合,容量が大きく伝送時間がかかるために,水中ロボット内で画像処理を行い,その結果だけを情報伝送する方式を検討した。ロボットに搭載しているCCDカメラから取り込んだ魚の画像処理を行い,その種類を識別するシステムを作成した。鰯,鰺,鯖について実験した結果,識別率は90%以上を達成できたが,処理時間が1秒前後かかる為にその改善が必要である。以上の研究成果の一部はICAM′98,MIRU′98,MVA′98等で発表を行った。
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