運転者への情報伝達デバイスを考えるとき、視認性は重要な検討項目である。一般に、道路上における標識、区画線などの道路交通施設の視認性をコントラストとして測定するため輝度計が使われている。しかし、輝度計は測定対象物と背景を同時に測定できない、また測定後にどの測定対象を測定したのか、測定対象物のどこを測定したのかを知ることができない。このため、CCDによる画像から視認性を評価しようとする手法が検討されてきた。画像による評価が有用であることは明らかであったが、画像の測定時間が長い・CCDの反応が不安定・アナログデータのデジタル化過程が難しいなどの問題があった。近年のデジタル技術の進歩により、従来のCCDを用いた輝度測定における問題を解決できる可能性が高くなりつつある。本年度は、ピクセル値(DSカメラの明るさのデジタル出力)によって測定可能な輝度範囲(特に下限値)と精度について、被験者による視認性評価とDSカメラによる視認性評価の比較について、2つの実験を実施した。 これらの実験から、DSカメラによるデジタル値の明るさ(ピクセル値)を輝度値に変換できることを見出した。変換式は、EV値の関数として示された。また、被験者による対象物の発見評価実験から、被験者による発見と非発見の境界は、限界コントラストとほぼ一致していることが分かり、DSカメラは被験者の感度を適切に評価すると言えた。以上から、ハイレベルなDSカメラは道路空間における視覚対象物の視認性評価に使える可能性を示唆できたと言えよう。画像から人間の視認性を限界はあるが分析できることから、視認性の高い運転者への情報提供デバイス設計への応用を今後検討して行きたい
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