研究課題/領域番号 |
10557128
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 教授 (60170601)
|
研究分担者 |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
佐藤 康二 浜松医科大学, 教授 (80235340)
前田 信治 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
温 同春 愛媛大学, 医学部, 助手 (70284411)
出崎 順三 愛媛大学, 医学部, 講師 (00036451)
|
キーワード | クリンプロスト / TEI-7165 / 神経細胞 / 一酸化窒素 / Bax / アポトーシス / RT-PCR / ウエスタンブロット |
研究概要 |
新規プロスタグランディンI_2誘導体クリンプロスト(別名TEI-9090)は、脳循環改善作用を介して虚血脳を保護することが報告されているが、最近になって末梢投与されたクリンプロストのうち約0.1%が脳内移行したのち、エステラーゼで加水分解されfree acid formのTEI-7165に変わることがわかってきた。今年度は、TEI-7165の虚血脳保護作用の分子機構を調べるとともに、TEI-7165を脳虚血後2日以上経過した後に脳室内注入しても、スナネズミの学習行動障害を軽減し遅発性神経細胞死を抑止するかどうかを検討した。 一次培養神経細胞にニトロプルシッドナトリウム(SNP)を負荷すると、NOの産生を介して神経細胞が傷害され、アポトーシスに陥ることが知られている。本研究では、各濃度のTEI-7165を培養神経細胞に添加することにより、NOの神経毒性を軽減できるかどうかをまず検討した。その結果、10^<-3>〜10^<-1>fg/mlの濃度のTEI-7165がNOによる神経細胞のアポトーシス誘導を阻止することが判明した。さらに、ウエスタンブロットならびにRT-PCRにより同濃度のTEI-7165がBaxの発現を抑制することがわかった。さらにTEI-7165を、スナネズミに3分間の前脳虚血を負荷後2日以上経過してから脳室内に注入しても、同動物の学習行動障害や海馬CA1領域の傷害が抑止されることも見出された。以上のことより、TEI-7165は細胞死促進遺伝子産物Baxの発現抑制を介して、in vitro及びin vivoの系で神経細胞を保護することが判明した。
|