研究概要 |
わが国において,現在は流行が確認されていないが,完全に制圧できたという保証もない実験動物の腎症候性出血熱(HFRS)を確実に(しかも簡単に)診断できるシステム,ならびに万一流行が疑われた場合に実験動物専門家が採るべき防圧マアニュアルを確立するため,本研究は企画。実施されているが,その第1年度は,研究協力者である有川(北大),吉松(北大),伊藤(実中研)らによって開発されたウイルス抗体検査キットの信頼性試験を中心に進められた HFRS原因ウイルスであるハンタウイルスの核タンパクをバキュロウイルスを発現ベクターとして,組換えタンパクとして発現させた.このタンパクをELISA用抗原として応用し,ウイルス抗体検査キットの試作品を作成した.国公私立大学実験動物施設に対して,ラット血清の抗体測定にこの検査キットの試用を依頼した(共同研究を依頼した). 平成11年3月1日現在国立大学34施設(1552検体),公立大学7施設(454検体)ならびに私立大学22施設(816検体),合計63施設,2822検体の血清について本検査キットを用いた抗体検査が実施されその検査成績と被検査血清が北大に送られてきた.核施設での検査結果は,目視によってプラス(+)と判定された血清は74/2822(2.6%)検体であった.しかし,これらのプラス判定血清について実中研の蛍光抗体法による確定試験では,いずれも陽性と判定されるものはなく,本検査キットの特異性は97%前後と考えられ,自主検査システムとして十分に実用に耐えると判断された. 第2年度においては,本検査キットの一層の信頼性向上の努力と,万一の流行時の対応マアニュアル作成を行う.
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