1 劇甚被災地の神戸市長田区鷹取東地区の復興状況について、平成10年2月に行ったアンケート調査とインタビュー調査を集計/分析した。二つの焦点である住宅の復興見通しは、推計・53%であり、被災地における住宅復興の難しさを示している。それゆえ、住宅復興を完了した事例と断念した事例を考察することによってプラス要因とマイナス要因を抽出しながら、どのような要因関連のなかで住宅再建が進行しているかを見た。 2 この地区は復興区画整理事業が施行されでおり、被災地の事業地域のうちでは最も早い進行状況(仮換地指定95%)にある。その事業展開の経過と今後の課題を参与観察によって研究している。 3 また、被災後の復興まちづくりを担って来た「鷹取東復興まちづくり協議会」が活動を衰退させてくる一方、解体状況にあった自治会が再建され活動を再開し始めた。そのことによって、今後のまちづくりをどちらの主導権で、どのようにやっていくのか、「まちづくり協議会」の活動過程での対立もここに持ち込まれ複雑な様相を示している。 4 神戸市は多くの外国人を含んでいるが、北野天満宮を中心として諸宗教、諸民族が合同して平和を祈る「北野国際祭」が発展しているが、国際港湾都市としての神戸の歴史を考察しながら、震災後の地域社会の新しい展開を追っている。 5 被災地では震災犠牲者を追悼する記念碑がさまざまな地域に建てられている。これがどのような経過で建てられたのか、また、今後どのような意味をもっていくのかを調査研究し始めた。 6 徳田剛、伊藤亜都子、大原径子(いずれも神戸大学文化学研究科院生)を協力者として調査の報告を行った(関西社会学会49回大会、ならびに11.参照)
|