研究概要 |
1988年度においては、ドイツ連邦共和国ブランデンブルク州において1992年以来実施されている新設教科「生活設計・倫理・宗教(LER)」について、その歴史的な展開の経過および現状についての資料収集と概括的な考察を行った。 1, 新教科LERは、1992-1995年の3年間にわたって、ブランデンブルク州の中等教育第I段階の44校において試行され、よそ100人の教師と7000人の生徒がこの先導的な試行に参加した。 2, LERの出発点は、ドイツ民主共和国が消滅する直前に行われていた教育改革の議論から始まった。この教育改革の議論の焦点は、ホーネッカー体制の学校を過表のものとし、新しい学校のビジョンを得ることであった。それは、児童生徒に生活の意味を問い、生活形成・倫理的行為と判断・宗教の文化的意味の問いかけについて多元的にアプローチを可能にするものであった。 3, ブランデンプルク州政府は、1995年10月にLERを設置することを決定した。1998年現在では、250の中等学校の1600学級において、約500人の担当教師によって実施されている。各学級においておおむね週2時間実施。 4, 現在実施されているカリキュラムでは、LERの内容について次のような主題的領域が構想されている。 (1)個人的存在としての人間について:人間の欲求、個人の生活史、生活世界と生活タイル、(2)コミュニティにおける人間について:人間関係の知覚とその形成、(3)人間の生活における危機と挑戦や悩みについて:原因、手段、限界、援助と個人の責任、(4)意義ある生活の達成についての探求、(5)人間と宗教・生活の哲学・文化について、(6)個人的な生活形成と地球規模でのその見通しについて。
|