地方の方言を記録した文献(第一種地方語文献)、方言が文脈中に反映した文献(第二種地方語文献)をそれぞれ相当数について調査することができた。中でも、対馬の方言を記録した『日暮芥草』(Figurasi Akutagusa)は、1813年の成立で、江戸時代に成立した『倭語類解』(Wagoruikai)『交隣須知』(Korinsuchi)などの朝鮮資料と成立年が近く、方言と思われる語彙や語法に共通する点が多く見出され、これら朝鮮資料の資料としての位置を定位させる上で貴重な情報を提供するものと思われる。 古文書は、近畿地方のものを含めて、日本各地のものを実物写真、影写本等について多数調査することができた。興味深い事象が数多く得られたが、この年度内には、時間的な制約もあり、これまであまり注意されなかった文字用法について論文の形で報告するにとどまった。引き続き整理をすすめ、成果をまとめていくつもりである。
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