私は平成11年度の研究実施計画に記した計画に基づいて研究を進めてきた。そして、既に公刊された論文には「疑問命令文と曖昧性」岐阜大学教育学部研究報告(人文科学)47巻2号(1999)pp.195-225.と「曖昧性と関連概念について」岐阜大学教育学部研究報告(人文科学)48巻1号(1999)pp.91-110.の2編があり、現在投稿中の論文には「曖昧性、不明確性と意味解釈」岐阜大学教育学部研究報告(人文科学)48巻2号がある。さらに、当初の計画どおりに『曖昧性をめぐって』(英宝社刊:2000)という書名の著書を出版することができた。私は現在、曖昧性に関する研究の次のテーマとして「音声的曖昧性の問題点とその解消の方法」、「曖昧性と反意性の類似点と相違点」や「意味論的曖昧性と語用論的曖昧性の本質的な相違」などを考えている。これらの問題についての研究が進めば、「曖昧性とは何か」についての理解が一層深まるばかりでなく、英語(のみならず、自然言語全般)の本質が少しずつ見えてくるはずである。私の研究が現在大変順調に進んでいるのは、科学研究費補助金の交付を受けたおかげで、たびたび、他大学に資料収集に出かけることができ、パソコンも購入し資料整理等のスピードアップがなされたためである。私の曖昧性に関する研究は、研究が進むにつれて対象とすべき領域が広がり、考察も最初の予想以上に深くなってきている。曖昧性の本格的な研究者は数少ないが、曖昧性が意味論の最も重要なテーマの1つであることは多くの言語学者の一致した見解である。私は今後も曖昧性に関する諸問題の研究を続けていって言語の本質を解明し、学界のみならず世の中に貢献したいと強く思っている。
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