研究概要 |
曖昧性という概念は言語の意味の研究の最も重要なテーマの1つであることは多くの言語学者の一致した見解である。しかしながら、曖昧性について本格的に研究している学者の数は多くはない。私は当該研究期間に英語で書かれた数多くの論文や本を丹念に読んで、これらの文献の中から数多くの曖昧な語句や文の実例を発掘した。そして、発掘した実例を基にして6つの論文を執筆し、(すなわち、「曖昧文のさらなる実例を求めて」、「疑問命令文と曖昧性」、「曖昧性と関連概念について」、「曖昧性、不明確性と意味解釈」、「統語的曖昧性と音律情報」と「曖昧性、不確定性と発語内の力」で、いずれも、岐阜大学教育学部研究報告:人文科学)、『曖昧性をめぐって』(2000:英宝社)という専門書を一冊出版した。私が発掘して、これらの論文や著書の中で紹介した先行研究は豊富なデータと深い思索に裏打ちされたものであるので、英語の本質の解明に役立つばかりでなく,高い資料的価値をも持つものである。また、私は現在、曖昧性に関する研究の次のテーマとして、「曖昧性と発語内の力の類似点と相違点」、「発語内の力の種類と数の問題」や「意味論的曖昧性と語用論的曖昧性と不明確性の相違」などを考えている。私の曖昧性についての研究が進むにつれて、関連概念である意味論、語用論、類義性、不明確性、ファジー性、一般性、袋小路文、音律情報や発語内の力などの特性も明らかになってきた。曖昧性と同じくらいに重要な意味論の概念は類義性である。そして、類義語辞典は国内外に数多くある。しかし、曖昧性に関する辞典は、私の知る限り、世界に一冊もない。私の研究の最終の目的は『曖昧文用例辞典』の出版である。曖昧性は学際的なテーマであるので、私の研究は学界のみならず広く世の中に貢献するものである。
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