研究課題/領域番号 |
10610538
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
早川 聞多 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (10208605)
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研究分担者 |
井上 章一 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (40135603)
小松 和彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90111781)
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60179207)
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キーワード | 生命観 / 生命主義 / 性愛観 / 倫理観 / 春画 / 艶本 / 風俗 |
研究概要 |
本年度は本研究の最終年度にあたるため、各研究分担者は各自の研究分野のまとめを行うと共に、それぞれの成果を持ち寄って議論を重ねてきた。本研究課題に即応した各分担の主な研究対象と研究分野は次の通りである。 [早川]江戸時代の浮世絵春画ならびに艶本を対象とし、江戸美術史および江戸文化史 [鈴木]日本近代の文学ならびに思想を中心にしながら、日本文学史の全般の再考 [小松]日本中世の物語を対象としながら、日本民俗史の研究 [井土]近現代の社会風俗を対象としながら、現代日本の思潮の研究 以上の研究成果は第一年目、第二年目および本年度の研究発表に記す通り、論文・図書として発表公開した。三年間の本研究を通して得られた成果は次の三点に要約される。 1.日本文化における性愛観はその身体観および生命観と底流において密接に関連しており、ある意味で人間にとって欠くべからざるものと見做され、通史的に見て強い禁忌の対象とはなっていない。 2.上記の要因から日本文化の各分野の底流には「色好み」の精神が肯定的に認められ、一見性愛とは関係のない表現の内にもその影が投影している。 3.日本文化における性愛観は通史的に日本人の身体観および生命観と密接に結びついており、西欧の近代的性愛観のみで論じ切れるものではない。 以上、日本文化における性愛観は日本文化研究にとってたいへん重要なテーマであり、今後もこうしたテーマに基づいた研究を多方面にわたって進め、研究を深めていく必要があると思われる。
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