本年度は、研究計画の初年度ということで、研究課題に関する資料・文献の収集及びそれらの全体的な傾向・概要の把握を中心として研究を進めてきた。 フランスの文献・資料の調査収集については、フランスでの外地研究期間(1995年〜1997年)以降のもの、とりわけ、通貨統合を契機としたヨーロッパ統合に向けた動きやそれと関連するフランスの行政・公共部門をめぐる動き、さらには官僚制度・公務員制度の動向に関するものを中心に行ってきた。収集した文献・資料については、その量が膨大で内容もかなり多岐にわたっているので、本年度はそれらをじっくり読み込むというよりは、資料・文献から読み取られる全体的な研究動向を概括的につかむこと、また日本との対比において研究テーマに関わる理論的課題の整理を行うことを研究の重点に置いた。このため、文献資料類の系統的な調査・収集と平行しながら、研究テーマに関するシンポジウムや研究会に参加し、わが国での研究動向や関心のあり方についてもフォローしてきた。 日本の動きについては、フランスとの比較においても、いわゆる橋本行革以降のわが国の行革をめぐる動きをどのように評価するのかが研究課題とかかわる重要な論点であり、この観点から、1998年の中央省庁等改革基本法の成立、それを受けた本年1月の中央省庁等改革大綱の策定に至るまでの行政改革(公務員制度改革を含む)の一連の動きを追い、一定の分析を行ってきた。
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