1.有限群GがテンソルカテゴリーCに作用するとする。Gの作用で不変なCの対象はテンソルカテゴリーをなし、これをAとする。CとGの半直積としてつくられるテンソルカテゴリーをBとする。一般に、環上の加群の類似で、テンソルカテゴリーが作用する線形カテゴリーを考えることができ、これもテンソルカテゴリー上の加群とよぶ。基礎体の標数はGの位数を割らないとすると、A上の加群で直和因子で閉じているものと、B上の加群で直和因子で閉じているものとの間に自然な1対1対応がつくことがわかった。これは、Gの表現のテンソルカテゴリー上の加群と、Gの作用する線形カテゴリーとの間の1対1対応(前年度に得た結果)から導かれる。また応用として、半直積型のテンソルカテゴリーがホップ代数の表現のカテゴリーとして実現できるかどうかの判定に使える。 2.有限体の乗法群と加法群の半直積をGとする。Gの複素表現は、1次でない既約表現がひとつだけで、簡単なテンソル積分解規則をもつ。これと同じテンソル積分解規則をもつような半単純テンソルカテゴリーの分類を試みた。完全な分類はできていない。Gの表現カテゴリー以外にそのようなテンソルカテゴリーは、有限体が3元体(Gは3次対称群と同型)のときはちょうど2つ、4元体(Gは4次交代群と同型)のときはただひとつ、8元体のときには少なくともひとつあることが分かった。また分類の過程で、有限体をその乗法群と特別な1次分数変換から再現する結果も得た。
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