研究課題/領域番号 |
10640110
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
明石 重男 新潟大学, 理学部, 助教授 (30202518)
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研究分担者 |
竹内 照雄 新潟大学, 理学部, 助教授 (10018848)
斎藤 吉助 新潟大学, 理学部, 教授 (30018949)
磯貝 英一 新潟大学, 理学部, 教授 (40108014)
鈴木 智成 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (00303173)
浅野 和雄 新潟大学, 理学部, 講師 (80000876)
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キーワード | エントロピー / データ圧縮 / コンパクト写像 / 再生核Hilbert空間 |
研究概要 |
上記研究課題における本年度の目標は、エントロピーを用いて、情報理論や通信工学で重要な帯域制限信号空間や記号力学系などの情報量を測定すること、及びエントロピー理論を用いた同型不変量を開発することである。 (1). 『再生核ヒルベルト空間の作用素論的分類』では、再性核にスペクトル分解定理を適用することにより得られる固有値列の収束指数に基づく分類法を与え、固有値列の収束指数間の大小関係が、対応する再生核ヒルベルト空間同士の大小関係と密接な関係を持つことを示した。これは、通信工学で重要な役割を果たす帯域制限信号空間の分類に適用される。 (2). 『コンパクト非線形写像の同型問題』では、局所凸線形位相空間上の非線形写像に対するエントロピー理論的分類法を与えた。ここで示された分類法は、従来から知られているヒルベルト空間上のコンパクト線形写像の分類法の拡張概念になっているだけでなく、コンパクト非線形写像から構成される力学系の同型不変量にもなっている。更に上記写像に付随する不動点集合が、ベールのカテゴリー定理の意味で第1類であることを示した。 (3). 『コンパクト正値作用素の固有値分布を求めるエントロピー型反転公式』では、コンパクト正値作用素のε-エントロピー列から、作用素の固有値分布関数を計算する方法を示した。この方法は、既に従来から知られている作用素の固有値分布からε-エントロピーを評価する方法の逆に対応するものとなっている。 (4). 『コンパクト距離空間上の拡大的力学系の記号力学系への埋め込み』では、完全不連結なコンパクト距離空間上で定義された拡大的力学系を埋め込むことを可能にする記号力学系の存在を示した。更に計算が難解であるが情報伝達速度評価の定量的尺度として利用される位相エントロピーを、計算が容易な記号力学系のコルモゴロフ-シナイエントロピーを用いて評価する方法を示し、このような力学系の伝達する単位時間当たりの情報量評価を可能にした。
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