今年度、レーザークーリングの実験装置を組み立てた。 光源には、波長780nmのクーリングレーザーとリパンプレーザーが必要となる。クーリングレーザーには外部共振器型半導体レーザーを製作し、ルビジウム原子のD2遷移の飽和吸収線にゼーマン変調信号を使って周波数安定化した。出力は15mW、線幅は1MHz以下、周波数安定度は約5MHzを得た。リパンプレーザーは半導体レーザーをそのまま用いた。出力は10mW、線幅は10MHz程度である。 四重極磁場発生用アンチヘルムホルツコイルを巻き、10gauss/cmの磁場勾配を作った。地球磁場やイオンポンプの漏洩磁場を補償するコイルを巻き、理想的な四重極磁場からのずれを0.01gauss以下にした。 イオンポンプで10^<-8>Torr以下の高真空に排気したガラスセルにルビジウム原子を封入した。これに円偏光したクーリングレーザー光を六方向から入射して、^<85>Rbと^<87>Rbの磁気光学トラップにそれぞれ成功した。 トラップされた原子の観測は原子が発する蛍光をCCDカメラで撮影して行った。温度は約100mK、数密度は8×10^<10>/cm^3と見積もられる。
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