研究概要 |
平成10年度には次のような研究成果を得た. 1. 異常診断のために計測した診断用信号に対して,従来のノイズ除去法の問題点を検討し,微小な異常信号を最も抽出し易い領域(時間領域,周波数領域および時間・周波数領域(ウェブレット,瞬間スペクトル))における解析を行い,統計法,遺伝的アルゴリズム(GA)による異常信号の最適抽出法について検討した.統計法においては,点検時に測定した信号のスペクトルから微小な異常信号の特徴スペクトルも検出できる「正規スペクトル比による特徴周波数成分の検出法」を提案した.遺伝的アルゴリズム(GA)法においては,統計情報量との結合により異常信号の抽出法を提案した. 2. 抽出した故障信号に対して,これまでに提案・定義されている特徴パラメータをまとめ,更に使用しうる特徴パラメータ(これらの特徴パラメータは基礎特徴パラメータと呼ぶ)を新たに定義した。時間領域と周波数領域においてそれぞれ30個の基礎特徴パラメータを定義し,各基礎特徴パラメータが異常を識別する感度を「識別指標Detection Index」と「識別率Detection Rate」を用いて評価した.その結果,基礎特徴パラメータを個別に用いて異常識別を行う場合,異常検出の精度が低いことがわかった. 3. 時間領域と周波数領域の基礎特徴パラメータによる異常検出の精度が低いとき,遺伝子プログラミング(GP)による基礎特徴パラメータの自己再組織化を行い,異常の識別率が大幅に向上された新たな特徴パラメータ()GP特徴パラメータという)が得られた.遺伝的プログラミング(GP)による基礎特徴パラメータの自己再組織化による特徴パラメータの自動生成アルゴリズムを確立した. 4. 考案した故障信号の抽出法および特徴パラメータ自動生成法の性能を軸受と歯車装置の異常診断を対象として現場データで評価し,これらの方法の有効性を確認した。
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