研究概要 |
熱流体力学としてのカルマン渦列の複雑系と創発性を,次のように明かにした. 1. 層流: (1) 負浮力によるカルマン渦列の発達を,数値解析と可視化実験によって,次の二項目を明かにした. ・ 発達過程とその特異性. ・ 発達に与える流体種類の影響. (2) 正浮力によるカルマン渦列の崩壊消滅を,数値解析によって,次の二項目を明かにした. ・ 崩壊消滅の原因:正浮力によって後流渦度が消滅することが主因であることを明かにした. ・ 崩壊消滅に与える流体種類の影響:水銀,空気,水で,最も崩壊消滅し難いのは水銀であって,その原因も明かにした. (3) 崩壊消滅での後流振動と表面特性のカタストロフィーを,数値計算によって,次のように明かにした. ・ はく離点が移動する円柱後流では,高プラントル数流体のみが, 臨界リチャードソン数で,平均ヌセルト数が急激減少する. ・ はく離点固定物体では,各流体での臨界リチャードソン数で,平均ヌセルト数が,低・中プラントル数流体では急激減少し,高プラントル数流体では急激増大することなどを明かにした. 2. 乱流遷移: 崩壊消滅後のプルーム流れを理想化した純プルームの乱流遷移の臨界グラスホフ数を,空気の場合に実験的に明かにした. 3.乱流: 等温の乱流カルマン渦列に正浮力を与えれば,正浮力によって,等温後流の乱流渦度は弱減衰するのみであること,渦列運動と揺動の各渦度が減少して,崩壊消滅することなどを,実験的に明かにした.
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